静音化とファンレスの検討3 (ディスク編)

■ディスクの騒音対策
■ディスクを選ぶ
 一昔前のディスクは,キーンという騒音を発し,アクセス音はガリガリと 五月蠅く,発熱もかなりあるものであると相場が決まっていました.しかし, ここ数年に発売された一般向けのディスクは,どれも以前に比較して 静かであり,発熱もそれほど高くなく,かつ,高性能になってきています.

 そのようなこともあり,ディスクを購入する際には,容量と値段で選択する人が 多いんではないかと思います.

 しかし,私個人の経験から書かせて頂きますと,『信頼性』 という面では,製造 メーカーによってかなりの差があります.無論,モデルや個体差,動作 環境によってこのパラメータはかなり変化してきます.しかし, 複数メーカー製のディスクをまとまった数量で使用していると,故障 率にかなりの偏りがあることに気が付くことでしょう.

 私が使用/管理しているディスクにおいて,ここ2,3年で一番不良率 /故障率が低いディスクメーカーは,MAXTORです.次が Seagate. 一方,最悪だったのが IBM です.なお,大量の集団死で問題になっている, 富士通製流体軸受けモデルは使用していません.(ただし,IBM 製のディスクは 悪評高き DTLA が故障率を高めており,最近のモデルは AVVA を 2ヶ月前に20本ほど使い始めたばかりですので,今後評価が変わって くるかもしれませんが)

 騒音の面で書きますと,Seagate Barracuda ATA IV や同 U Series の評判が良いようです.また,MAXTOR も静粛性に関しては定評があります (ただし,たまに外れがあり,購入直後から『キーン』と五月蠅い場合もありますが).
 そのようなわけで,安定性と静粛性を両立させるために,私は 基本的にディスク購入時には MAXTOR 製を購入するようにして います.

■ディスクの騒音対策の方法
 ディスクの騒音対策の方法としては,以下の4種類が考えられます.

    1) 動作音の静かなディスクを選択する
    2) ネジ取り付けの際に,防振ゴムワッシャを挟む
    3) ディスク用静音ケースの中に入れて取り付ける
    4) ディスクを静音モードで使用する
    5) 使用していないときには回転を止める
 1〜3 はハード的な対策,4,5はソフトの設定による対策です.

■ディスクの騒音対策の方法(ハード的な対策)
 ハード的な対策として,3つの方法を,ディスクの選択に関しては安定性と 静粛性を考慮してディスクを購入するとして,説明を省略します.

 2番目に挙げた防振ゴムワッシャは,大抵100円程度で数個入りが 売られており,それほど懐が痛まない金額ですので,(気休め程度の 感覚で)購入をお勧めします.

 私は Terminator に使用していますが,ディスクに関してはそれほど効果 を体感できていません.ただし,振動の激しい CD/DVD-ROM ドライブに 使用した場合は,ケースの共振が若干軽減される感じがします.

 次にディスク用静音ケースに関してですが,こちらは少し値が張ります. 具体的な製品名で挙げると,SmartDriveが現在最もメジャーな製品で すが,これは店頭価格で4千円ほどし,ディスクの熱を放熱するために アルミで筐体が作られています.
 しかし,ディスクを密閉したケース内に納めるという性質上,ディスクの 温度は解放した状態と比較すると上昇します.そのため,『熱のために ディスクの寿命が短くなった』と,言われる方がおられますが,その一方, 『うちは1000rpmの高発熱のディスクを入れて2年近く動かしっぱな しだけど問題ないよ』という方もおられます.この辺りはリスクも踏まえた 上で,利用する方が良いでしょう.

 騒音対策として見た場合の SmartDrive の効果は絶大で,回転音, アクセス音共に殆ど無音になります.一般的なディスクを使用している 場合,アクセス音が僅かに漏れてくるくらいでしょう.

■ディスクの騒音対策の方法(ソフト的な対策)
 ソフト的な対策に関しては,『ディスクを静音モードで使用する』と 『使用していないときには回転を止める』の2点を挙げましたが,前者は メーカーの提供するソフトウエアが必要であり,後者はBIOSおよびOSの サポートが必要です.

 まず,ディスクの動作モードですが,設定を行うためのソフトを メーカーサイトからダウンロードしてください.MAXTOR, IBM 製のソフトに のみリンクを張っておきますが,大抵の UDMA100 ディスクは,IBM の Feature Tool が使えるようです.

メーカー ソフト名 備考
MAXTOR AMSET.EXE
(['03/07/28] リンク張り直し)
/quiet で静音モードに設定
Hitachi Global Storage Tech.(旧IBM) Feature Tool
(['03/07/28] リンク張り直し)
Quiet Seek Mode で静音モードに設定.Windows用とLinux用バイナリ有り

 使用しているドライブによって,その効果にはかなり差があると思います.ただし, これらのツールで静音モードを設定した場合,シーク速度が低下することになります ので,パフォーマンスは低下します.また,MAXTOR 製のディスクは,(モデルによって?) 元々静音モードになっています.

 次に『使用していないときには回転を止める』方法ですが,これは BIOS が APM (Advanced Power Management) をサポートしている場合,『アクセスが無い場合に 自動的には,15分経ったら回転を停止する』と,いった設定が可能です.

 また,BIOS,OS側共に APM/ACPI をサポートしている場合,OS 側で設定可能 です.例えば Windows2000 の場合,コントロールパネルの『電源オプション』の『ハードディスクの 電源を切る』で時間を指定することにより,設定可能です.
 Linux であれば,例えば 『hdparm -S 120 /dev/hda』 と,設定することにより, マスターのプライマリディスクを,アクセスが無い状態が10分(5*120 sec)続いた 場合に回転を止める設定が可能です.

 ただし,一般にディスクは『回転停止->回転開始』の際の負荷,所謂スピンアップ 時の負荷が高いため,頻繁にこのアクションを繰り返すとその分寿命が縮まると言われて います. そのため,比較的頻繁にファイルアクセスを行うディスク,起動ディスクの場合は,あまり この設定を詰めすぎない(スピンダウンまでの時間を短くしすぎない)方が良いでしょう.

■ディスクの騒音対策の実践
■用意したものについて
 ディスクは大容量でかつ発熱が少なく,安定性も高いと考えられる MAXTOR 4G120J6 (120GB Ultra ATA 133 IDE ディスク)を使用しました.この ディスクは今流行の流体軸受けではなく,ボールベアリングタイプですが,静粛な 部類のディスクであり,安定性も定評のある MAXTOR 製です.また,スペック的 には 5400rpm であるため,7200rpm のタイプよりも若干パフォーマンスが劣ります が,その分騒音や発熱,安定面でアドバンテージがあると考えられます.


 次に取り付け用の防振ゴムワッシャですが, Justy DWH-02 を使用しました.これは内径2φの防振ゴムワッシャ10個入りで売られています.

 静音ディスクケースとしては,グロウアップ・ジャパンの Smart Drive を使用しました.実は私が使用した物は発売直後くらいに購入した物のため,最近の 商品とは異なります.最近出荷されている物は,ロゴのシルクプリントが青色になっており, ネジ取り付け穴が一列増えているようです.

 ハード,パーツとして用意した物は以上です.

 なお,ディスクとしては,最近 Seagate Barracuda ATA IV (7200rpm)の静粛性の 評判が高く,また,Seagate U Series (U6ACE) という 5400rpm のシリーズは,さらに 静音性が追求されています.

 MAXTOR とどちらを取るかというのは悩ましいのですが, 私は安定性を取り,MAXTOR にしました.ただ,静音性という意味では U6ACE の方が 上に感じています.これであれば,SmartDrive を使用しなくても,騒音的には全く問題 ないかもしれません.

■SmartDriveの取り付け
 それでは,SmartDrive を使用した場合のディスクの取り付け方法について 説明します.

SmartDriveは,アルミニウムで作られた弁当箱のような無骨なデザインです.付属品としては,電源延長ケーブルが付いてきます.
箱を開けると分かるように,防振&防音用のスポンジ状のものでディスクを挟み込む ようになっています.また,ディスクの表面,裏面はアルミケースに直接触れるようになっており, 放熱はこちら経由でなされるようになっています.
ディスクをはめ込むとこのようにスッポリと収まります.この段階で,同梱されている 延長の電源ケーブルを接続します.
次にIDEケーブルを挿します.
両ケーブルをディスクに差し込んだ後,ふたを閉じてネジ止めします.
このように,ケーブル類は僅かな隙間から這い出すように出るようになっています. そのため,ケーブル/コネクタの太さによっては,少々取り付けにくいかもしれません.
本体には,5インチベイにこのように取り付けます.ケースにネジ止めする際には, 防振ワッシャを挟むとと良いでしょう.

なお,Terminator にはケース内にスペースの余裕がないため,5インチベイに 取り付けました.しかし余裕がある場合には,ケース底面に防振用のスポンジを引き, その上に乗せる形で設置するのが良いでしょう.SmartDriveを使用することにより, ディスクの発する騒音は無くなりますが,5インチベイに取り付けると振動がケース に伝わり,騒音が発生する場合があります.

 私の場合,DVD-ROMドライブ,FDD,ディスクを2台を Terminator に内蔵させ る関係で,ディスク1台はSmartDriveに入れて5インチベイに取り付け,もう1台は 3.5インチベイに直接取り付けることにしました.その際に,SmartDrive に入れる ディスクは騒音の大きな方を入れることにし(個体差がかなりありました),かつ, アクセスする頻度の多い起動用ディスク(プライマリ マスター)に設定しました.

 つまり,3.5インチベイに取り付けたディスクは倉庫代わりに使用し,アクセスしない ときには回転を停止し,騒音源にならないようにするという作戦です.SmartDrive に内蔵したディスクは実に静かになり,アクセス時に僅かに音が漏れる程度のレベルに なりました.発熱の方も,それほど神経質になる必要のない程度の上昇に止まっている ようですが,高発熱の高回転ドライブを内蔵する際には注意が必要かもしれません.

■ソフト的な対策
 前述したように,BIOS 画面で,アクセスがない状態が 15分続いたら回転を 停止する設定にし,インストールした Linux (Vine Linux 2.5β2)で,ソフト的に 以下のように設定しました.なお,これらのコマンドを/etc/rc.d/rc.local に 記述しておくと,次回から再起動時に自動的に設定されるようになります.

    /sbin/hdparm -S 0 /dev/hda
    /sbin/hdparm -S 180 /dev/hdb

 上記設定は,『プライマリ マスター』のディスクは回転を停止せず,『プライマリ スレーブ』のディスクは 15分間アクセスがなかったら回転を停止するという設定 です.hdparm に関する詳細は,man hdparm を実行し,マニュアルを参照して ください.

■まとめ
■追加情報
 おそらく多くの人は,SmartDrive にディスクを内蔵した際に,何度くらいまで 温度が上昇しているか知りたいと考えていると思います.このようなことを行うために, Windows用の HDD Temperature Pro という便利なシェアウエア($12.50)が存在します.なお,30日間有効な トライアル版もダウンロード可能ですので,試してから購入すると良いでしょう.また,1 ドライブのみチェックの可能な機能限定版フリーウエア版のHDD Temperatureも, こちらのサイトからダウンロード可能です.

 これは,ディスクに内蔵されているサーマルダイオードを利用し,温度を 監視することが可能なソフトです.ただし,ディスクによってはサーマルダイオードが 内蔵されていなかったり,dtemp が対応していないモデルも存在しますので,利用 できない場合もあります(MAXTOR 製のディスクは利用できません.ただし,Quantum ラインで製造されている MAXTOR 製ディスクは利用可能です).

 ディスクから S.M.A.R.T パラメータを読み出したり等,その他にも便利な機能が搭載 されていますので,お勧めです.

 また同様な機能を持つソフトに, SpeedFanというフリーウエアも存在します.こちらはHDD Temparature よりもさらに高機能であり,M/B,CPU の温度に応じて,対応M/Bであればファン スピードをコントロールすることが可能です.ただし,この機能は Terminator では 利用できません...

■まとめ
 ディスクの発する騒音は,上記対策により解決することができました.深夜に ディスクが稼働していても,全く気が付かない程です.

 また,一連の騒音に関する対策により,現在騒音として聞こえるのは, ケースFANから聞こえる僅かな風切り音だけになりました.ただし,この風切り音は ケース内の ヒートシンクやケーブルによって引き起こされているものであり,また,レベル的には 殆ど無視できる程度のものです.

 一方,ディスクのアクセス音がしなくなったことにより,別の問題を抱えて しまいました.
 何か重い処理をさせた際に,ディスクアクセスに行っているのか 判断できないため,ハングアップなのか判断が付きません.また,故障前にディスク が発するかもしれない,独特なイヤーな音(カコーン,カコーン というリトライを 繰り返す音など)が聞こえないんじゃないかという心配が出てきたことです.ある 意味ジレンマではありますが.

 今後機会があれば,ケース内に防音シートを貼り付けたり,ケース FANの排気部分に電源静音フードもどきを取り付けてみようかと 思います.


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