Linuxで最強のテレビ録画サーバを目指す【3】-再生環境 AVeL LinkPlayer-

['04/02/14] 追記
['04/01/04] 初稿
■はじめに
■録画の次は再生
 こちらのページでまとめた方法で, Linux ベースの録画環境録画が構築できました.まだ Web ベースの録画予約 や録画物の管理インターフェイスなどは未了ですが,実用に耐えるレベルの 最低限の環境はひとまず完成といった所です.また,私は地域ローカルの CATV を利用している関係で,(チャンネルのアサインが若干違うために) 新聞のTV欄が利用しにくいのですが, ONTV JAPANを利用することにより クリアできました.いずれは iEPG を利用して録画予約出来たら なぁ…と考える今日この頃です.

 懸念していた安定性に関しても,帰省中に予約していた年末/年始特別番組 も無事に録画出来ており,ホッと一安心しています.帰省してから『あ!こんなオモロイ 番組が放送される!』と,なったときもあったのですが,ノート型PC を立ち上げ, AirH" でインターネット経由で自宅のマシンに入り,ちゃちゃっと録画予約できたの には感涙物の便利さでした

 さて,録画が出来たとしてても,快適に再生が出来なければ意味がありません.そこで 本ページでは PC に録画した物を再生する環境についてまとめたいと思います.

■PCを使って動画ファイルを再生する
 PC 上に保存されている動画ファイルを再生する最も手軽な方法は,PC で直接 再生することでしょう.例えば Linux 上で MPEG2 ファイルなどを再生する場合は X window 上で mplayer を使用することになると思います.

 ネットワーク経由で別マシンで鑑賞したいということであれば,ファイルの保存 されている当該のディスクをマウントして再生という方法が利用できます.一般に 使用されている DVD-Video 品質の MPEG2 ファイルの場合,ビットレートは最大 8Mbps です.10Mbps の帯域を持つ 10BASE ですと,場合によっては少々きつい場合がある かもしれませんが,現在一般に普及している 100Mbps の帯域を持つ 100BASE-T で あれば,多少ビットレートを高くして記録しているファイルであっても問題なく再生 できます

 また,クライアントマシンがWindows の場合, Linux Box 側で samba を動かして マウントし,MS MediaPlayer や DVD-Video 再生用ソフトを利用すると良いでしょう. クライアントPC が Mac の場合は,netatalk が利用できます.

■TIPS:samba を利用して 2GB over のファイルを扱う 際の問題
 Vine2.6r1 に入っているバージョンの samba は, 2GB over のファイルをきちんと ハンドリング出来ません.この bug は samba 2.2.7a で解決しています. 日本 Samba ユーザ会のページに行き, この bug が FIX されている日本語版 samba をダウンロードし,アップデートして おくことをお勧めします.ちなみに私は RPM 版の samba-2.2.8a.ja-1.0vl1 を インストールしましたが,Vine と設定ファイルの場所が少々異なるようで, インストール時にちょっとハマりました.samba の設定ファイルを別の場所に バックアップしてからアップデートした方が良いでしょう.

 多くの場合は PC に接続されているモニタ(CRT/液晶)に表示する形になりますが, TV-Out が可能な PC であれば,テレビに表示可能です.実際に見比べてみると 分かると思いますが,PC 用のモニタは精細感は高いのですが,色味はテレビに劣る 感じがします(ある程度カラーマッチングを行っても).また,一般にモニタよりも 大画面のテレビをお持ちの方は多いと思います.可能であれば TV に出力して一度 ご覧になってみてください

 なお,MPEG2 再生(デコード)は負荷が高い処理になります.現在一般に売 られている PC のスペックであればまず問題になりませんが,負荷の高い処理を 背後で動かしていたり,やや古いマシンで再生する場合はコマ落ちが発生する 可能性があります.

■Playerで動画ファイルを再生する
 動画再生のもう一つのアプローチとしては,一旦 DVD-R メディアに書き出し, TV に接続した DVD Player で再生するという方法があります.この方法は 動画ファイルのバックアップも同時に行え,多くの場所で視聴が可能であるという 観点からは非常に利便性が高いのですが,何かと前作業が必要になります.DVD-Video 形式で保存する場合は(変換ソースによっては)再エンコードの必要があり,また,DVD-Video のオーサリング,メディアへの焼き込みといった作業も必要になり,時間も労力も かかります

 また,録画&再生環境のユーザーが自分だけでない場合,コンピュータリテラシー の乏しい家族が使うときには, DVD Playerのような『家電』で再生ができるということが 大きなアドバンテージになります.かと言って,そのために多大な労力とコスト (メディア代)をかけるのは誰もが避けたい所だと考えるであろうと思います.かく言う 私も,一作業者としてヘロヘロになりながら何回作業をしたことか….DVDにタイトルを 入れ忘れて『やり直し』を宣言された日には,夕日に向かって泣きながら走り出したくなります.

…閑話休題

 その結果,PC 上のファイルをネットワーク経由でそのまま再生でき,その操作性は家電的で 誰でも容易に操作でき,一般的な動画フォーマットに対応したものが欲しい…と, いうニーズに繋がるわけですが,今回解説する『ネットワークメディアプレイヤー』 は,正にそのニーズを捕えた真打ちとも言える製品です.

■ネットワークメディアプレイヤー
■ネットワークメディアプレイヤーとは
 このジャンルはまだ完全に確立したものとは言えないと思いますが,基本的に以下のような 要件を満たした製品を『ネットワークメディアプレイヤー』と言うことが出来ると思います.

  • TV 出力が可能
  • Ethernet端子を搭載
  • PC 側でサーバソフトを動かすことにより,ネットワーク経由で PC 上のファイルを再生可能
  • 多くの画像/音声/動画フォーマットに対応

 おそらくこのジャンルの製品として最も初期に普及した物は,Vertex Link社の MediaWiz だと思います.かなりクセのある製品であったようですが,人柱となった方々の尽力で 様々な解析が進みました.そして 2003年末に長瀬産業の TRANSGEAR DVX-500, I/O データの AVeL LinkPlayer が発売されました.これら製品は MediaWiz に DVD プレイヤーが搭載されたようなスペック の製品です.そしてケースやインターフェイスに多少の違いはありますが,中身的にはほぼ 同じものと言って良いと思います(おそらく OEM 元が同じ).

 製品としての詳しいスペックに関してはメーカーのページを見て頂くとして,注目すべき点は 各種光メディアの対応状況と,数多くの画像/音声/動画フォーマットへの対応です.

 メーカーのページを抜粋すると,まずは DVD/CD メディアの対応状況として,DVD-ROM, CD-ROM,DVD±R/RW,CD-R/RW に対応しており,DVD-RAM を除く一通りの 12cm メディアに対応 しています(但し,DVD-VR フォーマットには対応しない.DVDレコーダとの連携には難あり). これら対応するメディアに対し,PC で直に書き込んだファイルを再生したり, DVD-Video,Video CD, CD-DA(一般のオーディオCD)形式で書き込まれたものを再生することが 可能です.

 一方対応フォーマットはと言うと,画像に関しては BMP,JPEG,GIF,PNGの表示が可能であり, 音声は WMA,MP3,MP2,AAC,AC3,PCM,Ogg Vorbis に対応します.そして最も気になる動画に 関しては,MPEG1/2,DivX(3.11, 4.x, 5.x),XviD に対応しています.その他,機器側が非対応の 形式であっても,(LinkPlayerであれば)バンドルされているソフトを利用して対応形式に 変換することが可能ですので,さらに多くのフォーマットを再生することが 可能になります.

■DVX-500 と AVeL LinkPlayer,何れを選択すべきか…
 スペック的にはほぼ同じ&価格がどちらも 2万円弱ということもありかなり,どちらを 購入したら良いのだろう…と,迷う人は多いようです.例えば AV watch にも比較記事が出ていますが,一般的な使い方をするのであれば,(リモコンの操作性 やパッケージの高級感,数千円の価格差等,若干違いがありますが)どちらを選択しても 大きな失敗は無いのではないかなと思います.ただし,DVI や D端子出力が欲しい場合や, 無線LANカードを使用したい場合は,選択肢は AVeL LinkPlayer に絞られます.
 また,少しアングラな話を書きますと,DVX-500 はリージョンフリー&マクロフリー(所謂 フリフリ)の隠しコマンドが明らかになっています.

 上記の比較記事では機能的な差異に関しての記述がありますが(例えば LinkPlayer はインターネットラジオが聴けない等),プレイヤーのハード的な制約ではありませんの で,ソフト的に解決を図ることが可能です(後述).

 ちなみに私はというと,I/O データ製の AVeL LinkPlayer にしました.理由は至って 単純で,故障時の対応を店頭で受けて貰えそうなので…と,いった消極的な理由です.

■'06/12現在,wizd/sambaで利用できる入手可能なネットワークプレイヤーの一部('06/12/20追記)
○I/O Data

○バッファロー

※私自身が検証しているわけではないので,利用は自己責任で.
■I/O data AVeL LinkPlayer
■AVeL LinkPlayer を購入
 当初,I/O データはメジャーメーカーですので,発売後はかなり潤沢に物が出回ると 考えていました.そして中身と完成度に少々不安を感じて いたこともあり,初物は避けてユーザーのレビューが公開され始めてから購入しようと 考えていました.やはり広告収入を糧の一部にしている雑誌媒体(Web版も含む)の場合, 紹介記事が提灯記事の場合がありますから,100%の信頼はおけません.

 そうこうしているうちに発売日が延期になり,12月中旬にようやく店頭に並んだという レポートがありましたが,その直後には『どこも売ってない!!(店頭在庫が払底)』の 阿鼻叫喚の嵐.秋葉原や日本橋で LinkPlayer を探し求める難民が溢れていたという話が 耳に入ってきます.キワモノに近いジャンルの製品だと私は思っていたのですが,相当数 売れているようです.

 丁度そのころ,とある学会締め切りのロスタイムに突入していた私が日本橋に買いに 出られるわけもなく,通販のページを探しまくるが入荷未定の嵐.一瞬2003年の年内納品可能で あった DVX-500 のオンライン通販に傾きかけましたが,結局 LinkPlayer を amazon で注文. しかし,『まもなく届きます.順次発送します』の表示があるのに,発送は 2004年の 20日以降の予定ということに….ここはガマンのしどころ.キャンセルしたら後回し になるかもしれない…と,そのときは自分に言い聞かせることにしました.

 すると学会事務局から締め切り延期のお知らせが.鬱積したストレスを発散すべく,喜び 勇んで12/23に難波へ.ついでに日本橋にも出撃.早速ダメモトで難波のBICカメラに行きます と,やはり陳列棚にはありません.店員に在庫の有無を聞いてみると, 『少々お待ち下さい…ゴソゴソ…これが最後の1つになります』と,レジの奥から赤い デカイ箱が出てきました.このときほど幸運を噛みしめ,神に感謝したのは久しぶりです. 早速購入し,その場で CLIE+AirH" でネットに繋ぎ,amazon の注文をキャンセルしました (周りからは変な人に見られただろうなぁ…). 余談ですが,ついでに買った年末ジャンボも1万円が当たり,久しぶりに元が取れて ホクホクでした.

 …閑話休題.

I/O data AVeL LinkPlayer.BICカメラで 26800円也.
箱が大きい&少し重いので,電車で買いに行くと帰りに少しツライかも.
私は もちろん,『持って帰ります.今日すぐに使いたいし』しました.

※初期ロットはファームに問題があるという話が飛び交っています.ある意味, 発売直後に購入できなくて正解だったのかも.




ワクワク
こんなに梱包を開けるときにワクワクしたのは久しぶりです.
内容物一覧.本体,Etherケーブル,RCA接続用のケーブル,マニュアル, PC側サーバ用ソフト,リモコンが同梱されています
再びワクワク


本体はかなり薄型.正面には電源ボタンと最低限の操作用のボタン,LCD (普段, I/O DATA と表示されるだけですが…)があり, DVDドライブは中央に配置されています.少々チープな作りですが,バッタモン的な 安物感はありません.
背面インターフェイス.PC Card(CardBus非対応?),Ethernet,DVI-I,D4(普通に D4に繋ぐと問題があるらしい.TV側で4:3を設定しないといけないのだとか--[04/02/14] ファームのアップデートで直ったようです), RCAとS端子の映像出力,同軸と光のデジタル音声出力,RCA音声出力2系統.
潤沢にあります.
早速ローボードに設置.背が低いタイプでしたので何とか収まりました. ちなみに AVアンプの入力端子が不足していたので,外部機器用の端子に接続することに…. コネクタは全て埋まる運命にあるのか…

ちなみに映像は S端子 で接続しています.

 電源,映像,音声ケーブルを接続し,そしてネットワークケーブルも接続します. 同梱されているケーブルはとても短いので,別途購入しておいた方が良いでしょう. なお,私は 100BASE-T で Ethernet Switch にぶら下げました.

※以下,テレビ画面をシャッタースピードなど特にいじらずにデジカメで撮影した 関係で,画像が少々汚くなっています.実際にはもう少し精細な感じで表示されます.

起動後,まずはリモコンで設定メニューに入り,各種設定を行います.

オプションはデフォルトのままでも良いでしょう.

次にネットワーク設定です.DHCPサーバが上がっていれば自動的に取得されますので 特に設定する必要はありません.『代替DNSサーバー』はどこのを… 調べてみたら my ドメインを使っているとあるプロバイダに…
私は使用していませんが,無線LANはここで設定します
流石に Ethernet port を持っているだけあり,時刻合わせは NTP 対応. デフォルトでは apple.com とかを見に行くような設定になっている.とりあえず そのままにしておくことにする…
最後に DVD 設定.私はここもほぼデフォルトのままで使用.AutoPlay を "ON" に しておくと,DVD-Video がドライブに入っている状態で電源を入れると自動的に再生される ので,"Off"にしておくと良いでしょう.

 その他,ファームアップデートは設定メニュー内でインターネット経由で行えるようですが, アップデータは出ていないようでした.

■サーバーソフトについて
 とりあえず単体でも高機能 DVD プレイヤーとして利用できるわけですが,PC 側でサーバ ソフトを起動しなければ,LinkPlayer の真骨頂とも言えるネットワークメディアプレイヤー としての機能を生かすことができません.

 製品に同梱されているサーバプログラムは Windows,Mac に対応しています.このソフトを 利用することにより,プログラムを動かしたマシン上に保存されている画像,音声,動画 ファイルをネットワーク経由で LinkPlayer から再生できるようになります.しかし,ファイル名 として特定の日本語コードが使われたファイルを再生することが出来ないなど,いくつかの 不具合が報告されています.また,例のごとくメーカーから Linux 用サーバソフトは提供さ れていません

 専用製品でしたらユーザーはそのまま泣き寝入りする所ですが,先人達の解析により, サーバソフトがオープンソースで開発&公開されています.基本的に MediaWiz 用という ことで開発が進んでいますが,中身の基本的な部分は同じですので,LinkPlayer でも利用 可能です.

■参考リンク

 今回は録画&ファイルサーバが Linux で上がっていますので,wizdを使うことにします.

# 解析をされて来られた方々,開発に携わった方々に感謝!

■wizdを使う
 まずはwizdのページ からソースコードをダウンロードします.私は 2003/12/21 の ver 0.12 (wizd_0_12.tar.gz) を利用しました.

 展開すると wizd_0_12 というディレクトリが出来ますので,この下に移動し, make clean した後で make します(バイナリも同梱されていますが,一応 make しなおす ことにします).make 実行後, wizd というバイナリが出来ているはずです.

 次に wizd の設定ファイルを作成します.

 同じディレクトリに "wizd.conf" という名前で設定ファイルのひな形が用意されていますので,エディタで開いて下さい. 基本的にそれほど変更する必要はありません.document_root(ファイルの 置かれているトップディレクトリ),access_allow(アクセス制限),server_name (サーバ名)の3箇所のコメントを外して修正すれば OKでしょう.私は /export/hd2/tv_mpeg 以下に録画ファイルが保存されているために document_root をここに設定し,家庭内 LAN からの アクセスのみ許可(192.168.0.0/24のレンジを使用しているため,192.168.0.0/255.255.255.0に設定), サーバ名は Terminator としました.後は skin を好みに合わせて変えましょう.

※設定や使い方の詳細に関しては,ドキュメントやソースを読んでみて下さい.

 次に /usr/local/wizd ディレクトリを作成し,ここに wizd 本体,wizd.conf, skin ディレクトリをコピーします(場所は別の場所でも構いません).あとは Linux 起動時に自動起動するようにするため,/etc/rc.d/rc.local にエントリーを 追加します.基本的にこれで準備は完了です.

 最後に実際に起動して試してみましょう.手動で起動する場合は wizd をオプション 無しで実行するだけです.自動的にデーモンとして起動します.

■AVeL LinkPlayer <-> wizd
 それでは LinkPlayer から wizd が見えているかを確認し,実際に利用してみましょう.

LinkPlayer を起動すると,このようにログイン先を選択する画面に遷移します.wizd は サーバーとして動作していることを自動通知する機能があるため,何も設定しなくても 自動的に LinkPlayer から認識されます.そしてサーバ名が表示され,稼働状況である ことを示す赤いアイコンになります.

リモコンを使用し,"Terminator" にカーソルを合わせて"SET"を押すと,wizd で公開さ れているディレクトリ一覧が表示されます

wizdのデフォルトのスキンを使用している場合,このような画面レイアウトで表示 されます.(テレビ画面をそのまま撮影したため,写真では多少見にくくなっています. 実際には遙かにシャープに表示されます)
一覧表示されているディレクトリを降りて行くと,動画ファイルの存在がこのように表示されます. 後はカーソルを移動し,SETすれば再生が開始されます.

また,ディレクトリ内にファイルが複数存在し,順に再生したい場合は"autoplay"を選択すればOKです.

 この例では MPEG ファイルの再生を例に挙げましたが,JPEG 画像や MP3 ファイルの 場合も同様に操作をします.当然ながら日本語のファイル名にも対応しており,Linux 上で Shift-JISコード以外が利用されている場合でも,自動的に変換されますので,問題なく表示されます. また,ファイルの実体は document_root 以下にある必要は無く,ここからシンボリックを張ることに より別ディスクのファイルも再生可能です.

 ここでは全てを説明しませんが,wizd にはMP3ファイルのID3タグの内容を表示したりなど, 多くの機能が積極的に盛り込まれつつあり,現在も精力的にバージョンアップが続けられています.

 基本的に LinkPlayer 側は Web ブラウザ+メディアプレイヤーのような内部構成になっている ようです.そのため,wizd 側から HTML ファイルを送ることにより,Web の閲覧が行えるほか, 前述したように,インターネットラジオを聴くことも可能になります.リモコンのボタンもショート カット扱いでハンドリングできるようなので,少し凝ったサーバープログラムを作成すれば, TV録画予約も LinkPlayer 経由で出来そうな気もします.

■使ってみて
 DivX の再生はまだ試していないのですが,手持ちの MPEG2 動画ファイルや MP3 ファイル を再生した限りでは,拍子抜けするほど普通に使えます.特に動画再生時品質は 『まぁこのくらいなら良いか』というレベルではなく,掛け値なしで満足の行く物に なっています.逆に ivtv16 で録画したものがここまで高画質だったとは…と, 驚くことしきりです.

 一方,若干の不具合や使い勝手の悪い部分もあります.いくつか思いつくままに挙げますと,

  • 滅多に発生しないが,動画の all play 中に中断したところ LinkPlayer がハングアップした
    (本体側電源スイッチのOFF/ONで復活)
  • 高ビットレートのMPEG2ではコマ落ちが激しい
    (ivtv16 で録画したベタな 8Mbps MPEG2ファイルでも,たまにコマ落ちっぽい挙動を示すときが あります.15Mbpsではかなり酷い状態に…)
  • 高解像度のJPEGファイルを表示させるとパレットが飛んだような感じに表示される
  • 家電ビデオと比較して操作性が今ひとつ悪い
    (例えば動画の再生中の進捗状況の表示が欲しい)
  • 伝聞ですが,DVD-ROM ドライブの読み取り精度が悪い
    (一部ユーザーはドライブを換装して対応している)

 辺りでしょうか.なお,これら不具合は,私が使いこなしていない/wizdの設定がマズイために 引き起こされている可能性もあります.特に MPEG2 ファイルのコマ落ちに関しては, 『問題なく再生できた』という話もあれば,『もっと低いビットレートでも問題が出た』という 話があります.ちなみに DV から落とした AVI ファイルを TMPGEnc で 8Mbps にエンコードした物はスムーズに再生されました.今後,色々と 試してみようと思います.

 いくつかの不満点があるとは言え,正直この価格でここまで出来るとは…と,驚いています. 最近の PC関連商品は『新たな PC life style の創造』からは程遠い面白みのない製品 ばかりでしたが,LinkPlayer は,PC を中心とした AV ライフスタイルを変え そうな予感があります

 使いこなしていく上での懸念事項は, Linux Box のディスク容量かも….あれこれディスクに 入れるようになり,既に空き容量が酷い状態になっています…

■まとめ
 『PC を AV life の中心に』といったコンセプトは, SONY 製の一連の製品群で 提案されていますが,個人的には VAIO を中心とした製品群で囲い込まれるような閉塞感 を感じており,あまり食指が動きませんでした.そんな中,汎用的かつ廉価なネットワーク メディアプレイヤーの発売により,オープンプラットフォームでも同様なことが実現可能に なりつつあるのかな…という手応えを本製品で感じました.

 手段は所詮手段であり目的とは別物と考えたい所ですが,『この目的のためにはこの手段 (製品)を使ってさい』と,押しつけられることが多い昨今,このようなパーツを集め, 不足部分や不満点は自分でカスタマイズして…と,いったことが出来ることに久々にワクワク しています.それも今までも出来ていたことの単なる高速化や高機能化ではなく,新しい ことを実現するという方向で…

 話はメタな方向に少々脱線しましたが,本ページを読まれている PC の知識がある程度ある 人に対しては,『騙されたと思って買ってごらん.きっと手放せなるから』と, アドバイスしたいと思っています.

[04/02/14]追記
 LinkPlayerのファームが アップデート され,いくつかの不具合が修正されているようです. uzuやwizdを使わず,『AVeL Link Server』とペアで使用している場合には,特定の文字列を 含んだファイルが再生できない等の不具合が解消されていますので,アップデートした方が 良いでしょう.また,CD/DVDメディアの再生をよく行う人もアップデートした方が良いかも しれません.アップデートに伴い,リージョンフリーになるという噂も飛び交っていますが, アップデートに伴って不具合が出る可能性もあるので,私はもうしばらく様子見します...


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