USBを使用しての拡張[6] CD-Rタイトルプリンタ

■CD-R の管理
■CD-Rのラベル
 メディア価格が廉価なためもあり,バックアップやデータの配布などに 大活躍するCD-Rですが,従来のリムーバブルメディアと異なり, シール式のラベルを貼ってメディア管理するようには出来ていません. また,ケースにタイトル等を書くことはできますが,メディア自身に何らかの 情報を書いておかないと,CD-Rの山の中から目的のメディアを探すときに 何かと不便です.特に,配布媒体として利用する場合には,他の人が きちんと内容物を確認出来るようにしておく方が好ましいでしょう.

 殆どの人はこのような用途のために,ラベル面に油性のサインペンで さらさらっと文字を書いていると思います.しかし,(私をはじめとする :-P)悪筆の人が殴り書きした文字は,たとえ書いた本人で あったとしても,後日判読できない場合なんてことになることも多いと思います.

 そういった意味では,保存用や配布用のメディアに対し,手軽に綺麗なラベルを CD-R に付けたいと常々思っている人は,多いのでは ないでしょうか.

■CD-Rのラベルを綺麗に作る方法
 CD-Rのラベル面に情報を記載する方法には,様々な方法があります. 1つは前述した『手書き』ですが,その他に古くから使われている 方法に,プリンタで印刷したシールを貼るという方法があります.

 これは一時期広く使われた方法で,一般に売られているパッケージには デザイン用のソフトの他に,専用シート,メディアにきれいに貼るための ツールが同梱されています.使い方は 極めて簡単です.専用シートはシールになっているため,印刷後に そのまま CD-R のラベル面に貼るだけです.基本的に印刷したものを そのまま貼ることが可能なため,綺麗に印刷可能なプリンタが あれば,ささやかな投資で綺麗なラベルを作ることが出来ます.

 しかし,CD-ROMドライブの高速化により,シールを貼ることによって 引き起こされる重心の偏りを原因として,メディアがバタ付いて回転するという 障害が頻繁に発生するようになりました(雑誌付録CDでも,印刷によって は同様の問題が発生します).また,経年変化によってシールの糊が 接着力を失い,ドライブ内部でシールが剥がれてとんでもない所に貼り 付くという事故も発生しているようです.そのほか,CD-Rはその構造上, ラベル面側が非常に デリケートになっています.シールを剥がした場合,メディア自身に 損傷を与える危険性が極めて高いでしょう(シャープで突くだけでも ダメージを与える危険性がある).そのため,最近はこの手のツールは あまり使われなくなって来ているように思います.

 そして以前は業務用くらいでしか利用されていなかった 『プリンタブルCD-R』ですが,最近は『CD-Rラベルプリント』 機能がコンシューマ向けのプリンタにも搭載されるようになって 来ました.昔はこの手のプリンタは印刷位置調整が煩雑で,しょっちゅう 印刷ズレを起こす 扱いが厄介なものでした.しかし,最近の物はその辺りの問題も解消して おり,非常に高品質なものを比較的手軽に印刷できるようになっています. DVD-Rのプリンタブルタイプにも利用できますので,少し気合を入れた 見栄えの良い 配布用 DVD Video を,家庭で手軽に作成することが出来るようになった とも言えます.

 しかし,簡単に文字情報だけでも入れられれば良いというのであれば, この手のプリンタ機能は少々大げさです.CD-Rを大量に消費している人 の場合,案外このように思っている人は少なくないのではないかと思います.


 CASIO が EZ-USB というシリーズで,1万円前後の価格帯でラベルプリンタ やテンキー電卓,デジタルカメラ等を販売しています.TOY カメラという ジャンルに先鞭を付けた格好になり,LV-10が一時爆発的に 売れたことで記憶している人は多いと思います.

 そして今回本ページで解説する『ディスクタイトルプリンタ CW-50』も, このシリーズの1つです.現在は PC 無しでタイトルを印刷できるCW-70の他, 上位機種に当たるCW-100も販売されています.

 CW-50のコンセプトは至って明確で,前述したような『主にテキスト情報を 綺麗にかつ手軽にラベル面に印刷する』というものです.ただ,派手 さという面ではあまりパッとしないせいか,爆発的なヒット作になったと いう話は聞きません.とは言え,実用本位かつ懐にもやさしく導入できる 周辺機器としては,お勧めできる一品です.

■ディスクタイトルプリンタ CW-50
■CW-50の仕様について
 CW-50は前述のように,仕様的に割り切った製品です.ラベル面に直接 印刷するわけですが,その機構は熱転写方式を使用し,解像度は200dpiと 文字情報を印刷する場合に実用上問題ない程度のスペックに押さえられています. また,インクリボンは黒,赤,青,銀の4色がラインナップされていま すが,同時に複数色を使えるというわけではなく,手動交換での排他利用です.

 印刷は専用ソフトを使用し,レイアウトやフォント(種類,ポイント 数,書体など.一部制限有り)を選択し,文字を書いていくイメージに なります.フォントはプリンタ側に搭載されておらず,Windows側で ビットマップに展開して送ります.そのため,Windows側にインストール されているフォントであれば,利用することが可能です.
 一応画像も印刷可能ですが,解像度が低いことや,1色印刷になる ことを考えますと,簡素なイラストや図を貼れる程度に考えておいた方が 良いでしょう.

ダウンロードページから『CD-Rタイトルプリンターアプリケーション for CW-50 ver.3.00』をダウンロードすることにより,より柔軟な印刷が 可能になります

 その他,印刷エリアはラベル面全面ではなく,基本的に上下2カ所 (それぞれ70mm*15mm)のエリアみです.そして値段を考えると致し方 ないのですが,印刷箇所(上下)を入れ替える際には,手動でメディア をトレイに乗せ直さなければいけません.

 と,まぁ文字の説明だけを読みますと『安かろう悪かろう』的な マイナス面が目立つかもしれません.しかし,私のように用途が ピッタリ合う人にとっては,機能的には必要充分です.逆に コテコテと必要以上のものを付けて高価格化するよりも,割り切った 仕様にして低価格化という方針は好感が持てます.

 ちなみに上位機種のCW-100は解像度が300dpiに上がっている他, メディアのオートターン機能が付加されていますので,印刷位置変更時に メディアのセットし直しの必要がありません.両者は現在併売されており, CW-50が約1万円,CW-100が1万5千円前後で売られています.どちらを 購入するかは人それぞれだと思いますが, 個人的には CW-50 で十分だと考えています.

■メーカーの商品紹介ページへのリンク

■CW-50
 専用ソフトをインストール後に本体を PC に接続することにのみ気を付ければ, その他は特にセットアップで戸惑うことはないでしょう.

割と大きめの箱に入って売られています.
箱裏面1.ここには,専用ソフトの version1 の説明が書かれています.version3 はこれよりも遙かに高機能になっています.
箱裏面2.ここに載っている推奨メディア以外のメディアも利用可能です(後述)
箱裏面3.動作環境としては,Win98〜2000までを正式サポート.MacもCASIOの サポートページからドライバをダウンロードすることにより,対応可能のようです. (おそらく,WinXPでも問題なく使えると思います)
内容物一覧.黒インクリボン1本およびCD-Rブランクメディア1枚も同梱されています.接続用USBケーブルも同梱されていますので,基本的に買って来てすぐに使えるようになっています.
別売りのインクリボン.このように1本単位の物のほか,3本単位のパッケージでも 売られています.3本単位の方が単価は安くなりますので,普段よく使う色に関しては, 3本パックで購入しておく方が良いでしょう.なお,1本のインクリボンで40タイトル分 の印刷が可能です.

本体はこのようにコンパクトです.
印刷時にはこのようにトレーを開け,メディアを手動でセットします
メディアの上下のエリアに印刷可能ですが,機構的な制約により,向かって 手前側のみ印刷されます.上下2カ所に印刷する場合,手動で方向を入れ替えて トレーにセットし直す必要があります.
本体の上に乗っているゲージは,位置調整用(印刷位置がずれないように 調整するため)のゲージです.なお,インクリボンはこのようにトレーが 開いた状態のときに,手動で取り替え可能です.(メディアの上に見える 部分がインクリボン&ヘッドです)

 なお,このプリンタで利用できるメディアは,CD-R/RW,DVD-R/RW,そして 殻無し片面のDVD-R等の12cmメディアです.メーカーからは『対応 メディア』として数種類の製品がリストアップされていますが, 基本的にここに載っていない製品であっても,表面が滑らかで あれば問題なく使えます.また,多少ざらついたものであっても, 印刷品質は少々落ちますが利用可能です.

 私の場合,CD-Rは TDK または太陽誘電のゴールド地のものをコレでよく利用して います.ラベル面に印刷が施されたものは使いにくいので,シルバーまたは ゴールド無地のものの利用がお勧めです.

■専用ソフトについて
※ここで説明する画面は,CD-R タイトルプリンターアプリケーション for CW-50 ver 3.00 の画面です

 印刷は,次のような流れで行います.

    1.レイアウトを決める
    2.印刷内容を入力
    3.印刷ボタンを押す
    4.メディアを乗せ,上面を印刷
    5.画面の指示に従い,ディスクをターンして乗せる
    6.下面を印刷

 Ver1.0のソフトの使い方は至って簡単です.しかし,Ver3.0高機能化 された反面,インターフェイスが分かり辛くなり,直感的な操作が出来ない 部分が若干出てきているように思います.しかし,画面上に表示される アシスタント通りに行えば問題はないでしょう.

 以下,印刷可能なレイアウトに関して,若干説明します.

ソフト起動後,CDレーベルの種別を選択します.

画面右側に出ているのがアシスタントです.操作方法が分からなくなった ときには,これを読みながら作業を進めると良いでしょう.

文字だけの一般的なレーベルは,このように文字列を入力するだけで 作成することができます.文字のサイズや修飾,文字寄せなどを設定可能です.
音楽CDの場合,このような画面で作成することが可能です.タイトル, アーティスト名,曲名を入力できますが,曲名等は 別ソフトから取り込むことも可能です.文字サイズ等は自動的に調整されます.
音楽CD用に近いレイアウトですが,ァイルを 整理して格納するもの場合,このレイアウトを使用すると便利でしょう.文字 サイズ等は自動的に調整されます
デジカメ画像用のレイアウトです.日付,場所,撮影詳細等を定型 フォーマットで印刷できます
自由にレイアウトを行うことが可能な設定です.

CD-Rのレーベル面上下 毎に詳細に設定できます.画像も貼り込むことが可能ですが,解像度があまり 高くなく,また,1色印刷になるため(色は使用するインクリボンによって 変更可)あまり見栄えはよくありません.線画のようなものであれば辛うじて 実用に耐えますが,写真を誤差拡散/パターンで2色に落として使用するのは かなり苦しいでしょう.

 この手のツールを使う/使い続ける際の肝は,割り切って使用し,あまり 凝った使い方をしないことだと 私は考えています.一旦テンプレートを作成し,文字を流し込むだけで利用 できる程度にしておかないと,買ったは良いけれどあまり使わないツールに 成り下がることが多いでしょう.

 また,プリンタもできるだけすぐに使えるような状態にしておく方が 良いでしょう.これが手間ですと,最初の設定(ケーブル繋いで電源入れて… etc)が面倒で,結局埃を被ってしまうことになりかねませんから.

■まとめ
 『手書き』と『高品質インクジェットプリンタを使った印刷』の ニッチを狙った商品とも言えそうな本製品ですが,手軽にそこそこ 綺麗なCD-Rラベルを作りたいという人にとってはうってつけの製品 だと思います.私の場合,『これって何て書いてあるんだ!?』と, あまりの悪筆に我ながらあきれる機会が多いのですが,こと CD-R の 管理に関しては,このようなことが激減しました.本体価格が安い こともありますので,『1台手元に持っていると便利ですよ』といった 感じにお勧めできる周辺機器です.

 ただ難点は熱転写プリンタの宿命とも言えるランニングコスト. インクリボンは500円〜550円くらいですが,これで40ラベル程印刷 できると言われています(なお,構造上例え印刷していなくてもリボン はきっちり走行しますので,『印字する部分が少ないから 長持ち』ということはあり得ません).つまり,ラベル面上下に 印刷した場合,1本で CD-R 20枚まで印刷できるということになります. ランニングコストを逆算すると,CD-R 1枚辺り20円〜27.5円.サイン ペンで手書きは勿論のこと,下手をするとインクジェットプリンタに も劣ります…


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