USBを使用しての拡張[1] USB Hub

■はじめに
■BKi810の拡張
 BKi810には PCI Slot 等の拡張スロットが無いだけではなく,SCSIポートや IEEE1394 ポートは勿論のこと,IDEのセカンダリポートもありません.外部機器 接続用のポートとしては USBポートが2ポート用意されてるだけです.オンボード でビデオ,オーディオ,ジョイスティック ポート,10/100Mbps対応のNIC,56Kbps 対応モデム等,一通りのものが搭載されているため,大抵の用途では拡張する 必要は無いかと思います.しかし,少し欲張ったことをしようとした場合,普通の デスクトップPCのように,拡張カードを購入して…といったことができませんので, その用途が制限されることになります.このようなことがあるため,BKi810 は, 一般に割り切りが必要なマシンだとも言われています.

 さて,出た当初は Un-used Serial Bus とまで言われていた USB ポート ですが,Apple が iMac を出してきた辺りから接続可能な機器類が出始めま した.また,Windows98 から正式に Windows系 OS側でサポートされたことも あり,USBポートを利用して様々な拡張が可能になって来ました.

 このような状況から,必ずしも BKi810 は拡張が不可能なマシンだとは言えなく なって来ました.そこで本ページを含めた一連のUSB関係のページでは,私が 購入し,BKi810 で快適に利用できている USB 機器に関して紹介して 行きたいと考えています.

■USBの基礎知識
 USB とは,Universal Serial Bus の略で,Intel,Microsoft,Compaq, NECが 1993年頃に共同でPC用周辺機器の新しいインターフェイスとして 研究を開始したのが始まりと言われています.その後 DEC,ノーザンテレコム が加わり,1996年1月にRevison 1.0が策定され,正式にUSB規格として 発表されました.その後発表された規格としては,現在一般的な Revision 1.1,最近対応機器が発売されはじめた Revision 2.0 等が あります.また,一般にRevision 1.1 の USB 規格を略して USB 1.1 と 呼ぶことが多いため,本ページでもそのように表記し,また,特に断りがない 場合は,USB 1.1 を表すこととします.

 USB の特徴は,以下のとおりです.

    ■12Mbps/1.5Mbps の通信スピードをサポート
    デバイスのタイプにより,転送スピードや転送方式が自動的に選ばれます. 一般的なSCSI機器(Ultra SCSI:20MB/sec)と比較した場合,1/13程度の 転送スピードしかありません.USBは,あくまでも比較的低速なデバイスを ターゲットとしていると言えます.(USB 2.0 では高速化が図られており,USB 1.1 の40倍にあたる 480Mbpsもの通信スピードをサポートしています.これだけ のスピードが出れば,ストレージ系デバイスで要求されるの転送速度も十分 満たせます.また,これで400Mbps の IEEE1394a を超えた…と,思ったら, 3.2GbpsのIEEE 1394bが発表されました)

    ■Plug&Play,ホットプラグ対応
    USBデバイスは,基本的にUSBポートへ差し込むだけで使用できるように なります.ドライバのインストールが必要な場合はありますが,基本的にデバイス は自動認識され,その後の指示に従ってインストールするだけです.また,本体, デバイス共に電源を入れたままで自由に抜き差しできます(ホットプラグ).そのため, SCSI機器やその他の機器にありがちな,接続後に本体を再起動したり 電源投入前に結線しておかなければならないといったことはなく,とても使いやすいも のになっています.

    ■USBポートからUSBデバイスへ電源供給可能
    消費電力の少ないUSBデバイスは,USBポートから電源の供給を 受けることが可能です.USB Hub のタイプによって供給可能な電力 は異なりますが,5V 100mA/5V 500mA の供給を受けることが可能です. そのため,ちょっとしたデバイスの場合,ACアダプタを使用せずにUSB ケーブルを接続するだけで使用できるようになります.

    ■リソース管理をしなくても良い
    PCIのカードを接続したり,少し特殊な機器を外部接続する場合, 大抵面倒な設定を行わなければならない場合があります.また,IRQを 消費するデバイスの場合,その増設可能な数も制限されてしまいます.
     USBデバイスの場合,この辺りのことを考えなくてもよく,挿せば使え, また,IRQはホスト側で1つ消費するだけで,何台USBデバイスを増設し た場合でも,追加で消費されることはありません.専門知識を持たない 人にとって,扱いやすいものであると言えます.

    ■デバイスの増設,配線が楽
    USBデバイスを増やす場合にも本体の筐体を開けることなく,簡単に 最大127台までのデバイスを増設することができます.また,接続 用のUSBケーブルは1本の細いケーブルで接続するだけで良く, また,デバイス間のケーブル長は最大5mまで可能です.
 簡単に USB の特徴をまとめると,データ転送スピードは比較的低速で あるけれども,簡単にデバイスを接続できるといった所でしょうか. しかし,この『簡単にデバイスを接続できる』というメリットは大変大きく, 多少スピードには目をつぶることができるデバイスの場合,とても便利な インターフェイスであるとも言えます.

 なお,似たようなインターフェイスの規格に,IEEE1394(FireWire やI-Link と呼ばれることもある)があり,こちらは最大400Mbps(IEEE1394a規格)まで の高速データ通信が可能です.

 現在 USB は,USB 1.1 という規格が一般的ですが,600Mbps もの通信帯域を持つ USB 2.0 規格に対応した商品も出回り始めています. OS側の対応次第では,今後は高速データ通信用インターフェイスとして, SCSIを過去のものにし,もしかしたらIEEE1394をも駆逐するようなものになるかも しれません.なお,USB 2.0 は USB 1.1 に対して下位互換性を持つことが 表明されているため,USB 2.0 のポートに対し,現行の USB 1.1 仕様の デバイスを接続することは可能であると思われます.

■USB Hub
■USB Hub を利用して USB の使い勝手を良くする
 USBは『使うときだけ繋げる』といった使い方が可能な便利なもの ですが,BKi810 で USB を本格的に使おうとした場合,2つの問題点が あります.それは背面にUSBポートがあることと,2ポートしかUSB ポートが用意されていない点です.ポート数の方は同時に使用するのは 2デバイス以下ということであれば,特に問題にはなりません.しかし,背面にしか ポートが無いのは,かなり使い勝手を悪くしています.常に挿しっぱなし ということであれば問題ありませんが,頻繁に差し替えをする場合,背面に手を 伸ばしてケーブルを抜いたら別のケーブルも抜けてしまった…なんてことにもなり かねません.

 この問題を両方とも解決するため,私はUSB Hub を利用することにしました. USB Hub を使用することにより USB ポートを増設すると同時に,Hub のポートを PC本体前に向けて前からアクセス可能にしようということです.

■バスパワー USB Hub,セルフパワー USB Hub
 USB Hub はその名の通り,1ポートの USB ポートを分岐し,複数の USB デバイスを接続可能にする機能があります.また,Hub 自身がバスパワー(USB ポートから電源供給を受ける)で動作するものの場合,外部電源を使用せずに 手軽にポート数を増やすことができます.ただしこの場合,Hub に接続する デバイスは,1ポートあたり 5V 100mAまでしか電源供給を受けられません.つまり, マウスやキーボードのような低消費電力のデバイスを除き,USBポートから電源 供給を受け,かつACアダプタを接続しないタイプのデバイスの動作は 厳しいということです.

 一方,セルフパワー形式で動作し,ACアダプタを接続して使用するタイプのHub の場合,PC本体に付いているUSBポートと同様に1ポートあたり500mAまでの電力 供給が可能となります.バスパワーで動作するスキャナの場合,このような Hub を使用しなければ動作しない場合があります.

 どちらが良いとは一概には言えませんが,バスパワー で動作する Hub はノートPC 向き(出先で AC 電源を用意できないところでも利用可能であるため)であると考え られるのに対し,デスクトップPCではAC電源が確保できる環境に置かれるのが一般的であり,かつ様々な拡張が施される可能性があることを考えると,セルフパワーで 動作する Hub の方が向いているように思います.

■2ポートバスパワー USB Hub
 このHubは,ノートPC用に購入したものです.出先で,マウスとその他の入力用 デバイスを同時利用することを想定していました.メーカーの方もその辺りのことを 考えてか,VAIOをはじめとするメタリックカラーのノート型PCと一体感のあるカラー, そしてケーブル一体型の軽量小型にまとまっており,持ち運びに苦労しないものに なっています.

私が購入したもののうちの1つの ELECOM UH-2BSV .
このような形で売られていて,値段的には3000円〜4000円
私が購入したもののうちの1つ.
普段はこちらを BKi810 で使用中.デザイン的にもこちらの方が好み. 値段は3千円台.
2ポートのUSBポート.必要な設置面積は限りなく少なくてすむ.
この USB Hub じか付けのケーブルを本体に挿すだけで利用可能
このような形で使用する.安定性が悪いのが難点.

 2ポート程度の増設しかできませんが,値段的に手頃感があり,一時的に USB ポートを増設したいという用途には大変重宝します.しかし,デスクトップで使用する 場合には,軽量小型というのが裏目に出てしまいます.Hub 本体を手で押さえるな どして固定しないと,ケーブルの抜き差しがやりにくいでしょう.また,ケーブル長も 固定であるため,PC周りのレイアウトによっては,ちょうど良い場所に設置できない 可能性もあります.

■4ポートセルフパワー/バスパワー USB Hub
 このタイプのHubとして,私は2種類3個購入し,使用しています.どちらも セルフパワー,バスパワーのどちらの動作モードにも対応しています.ACアダプタを Hub に接続するとセルフパワーで動作し,接続しない場合にはバスパワーで動作 するという形になっています.また,USB ケーブルは1m程度のものが付属してきま すが,必要であればもっと長いものを購入し,使用することも可能です.

 こちらの Hub は,前面の投影面積が小さく,小さな隙間程度のスペースに置け るのが特徴です.また,インジケータ機能が充実しており,LEDの色により,当該の USBポートに接続されたデバイスが,バスパワーで動作しているのか,セルフパワーで 動作しているのを見ることができます.ただ一点難点があり,LEDは常に点滅表示 することから,視界内に置いておくと煩わしいです.また,ACアダプタを接続し,セル フパワーで動作しているときには,本体側の電源を落としても通電しています.LED も点滅しつづけるので,ことさら煩わしいです…

内容物一覧.Hub本体,少し大き目のACアダプタ,そして短いUSB ケーブルが入っている.Hub設置場所によっては,USBケーブルを別途 購入する必要がある.台湾製.
定価9千円のものを約8千円で '99年の早い時期に購入.今となってはかな り割高.
HUBインジケータ.これらが点滅することにより,どのようなモードで デバイスが動作しているのかが確認できる.しかし,常時点滅しているので 少々煩わしい.
USBポートは前面に4ポート分あり,2段にレイアウトされている. また,デスクトップにも置きやすいように,下面が平らになっている.
裏面にはアップリンクポート(本体/本体に近い側のHubに接続する ためのポート)とACアダプタ用の口が用意されており,形状はB Type.なお, USB ケーブルには A Type, B Type とあり,プラグ正面から見て長方形をし ているものを A Type,正方形をしているものを B Type と呼び,A Type は 本体側, B Type はデバイス側に使用するのが一般的(当然例外はある).

 こちらの Hub は横型であり,サイズ的にはBKi810を横置きした際に,横に立てて 置くと丁度良いくらいの大きさです.LEDは常に点灯しており(マニュアルによると, デバイス接続時に当該ポートのLEDが点灯となっているが,その通りに動作しない), 前出のHubのようなモード表示機能はありません.こちらの Hub は,セルフパワーで 動作している場合でも,本体の電源を落とすと,Hubの電源は落ちます.個人的に はこちらの Hub の方がお勧め.

'01/04に購入.定価5800円.安くなったものです.
安くなったとは言え,このような感じで詳細な説明があり, 説明書も入っている.安物という感じは全く無い.
中にはHub本体,小型のACアダプタ,そしてUSBケーブルが入っている. 先のUSB Hub と同様,USBケーブル長は短いので,必要に応じて適切な長さの ケーブルも買うべし.
正面から見るとこのような形.一列に 4 つの USB ポートが並ぶ.
裏側にはアップリンクの USB コネクタ (B Type)と,ACアダプタ用の 口がある.
電源を入れるとこのようにLEDが点灯する.詳しくは本文に書いた通り.
横置きしたBKi810の横にうまい具合に収まる感じ.

■まとめ
■まとめ
 今回,4port USB Hub を追加したわけですが,ぐっと BKi810 の活用の幅が広 がりました.Hub に接続して使用している USB デバイスに関しては,追々ページを 追加して紹介して行きたいと思います.
■後日談 ['01/05/27]
 久しぶりにゆっくり時間が取れたので,日本橋を巡回してお店を見て回ったの ですが,USB Hub がとても安くなっていました.バスパワーで動作する 2 port USB Hub は2千円を切っており,バスパワー/セルフパワーで動作する 4 port USB Hub に至っては,より一層の小型化がなされており,価格的にも2500円代で購入可能 になっていました.

 この 価格で購入可能であれば,迷わずに 4port のタイプを購入し,出先でノート型PC で使用するような場合はバスパワーで動作させ,デスクトップで使用する場合は セルフパワーで使うというのが良さそうです.


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